小林よしのりさんのギャグ漫画を原作に、1989~92年にテレビ朝日系で放送されたアニメ「おぼっちゃまくん」の新作がインド市場に向けて制作されることになった。来年春の放送をめざしているという。テレビ朝日が24日、定例会見で明らかにした。
良家の子女が通う学校に転校してきた財閥の跡取り息子「御坊茶魔」らが繰り広げるドタバタを描いた同作。親友を意味する「ともだちんこ」など、主人公が操る独特の「茶魔語」も相まってブームを起こした。
「おぼっちゃまくん」の新作アニメの制作は約30年ぶりという。プロジェクトを共に進めてきたのは、ソニーグループの現地法人「ソニー・ピクチャーズ・ネットワークス・インディア」。子ども向けチャンネルで過去作をヒンドゥー語、タミル語、テルグ語などに吹き替えて配信している。経済成長の続くインドで80年代の日本で生まれた勢いのある世界観がマッチし、インド全土で人気を集めているという。
テレビ朝日の藤本幸子取締役は会見で、「主人公がお城のような自宅に住んでいる設定や、屈託のない言動が現地の方に刺さったのでは」と分析する。人気はこの10年ほど続いているといい、「やっとこちらから動き出すことができた」と話した。
現在は来春の放送に向け、小林氏監修のもと、テレビ朝日の子会社・シンエイ動画がシナリオ制作にあたり、アニメ制作はインドで行っている。10月にフランス・カンヌで開かれる国際映像コンテンツ見本市「MIPCOM」で、完成披露イベントを実施することも決まったという。(照井琢見)