「『クレヨンしんちゃん』は、中国と韓国が海外市場の規模では大きい。東南アジアでも根強い人気です。ヨーロッパでは昔から特にスペインで人気。そして今は、インドが盛り上がっています! スペインとインドというと明るいパワーがパーッと外へ出ていくイメージで、そこが『しんちゃん』と相性がいいのかな、とも思うんですが、じゃあ中国がそうかって言うと『どうかな?』というところがある。正直、何が人気の理由かは分からないところがあります。あ、親子で楽しめるというのは世界共通ですね」
と話すのは原作マンガの版元である双葉社のクレヨンしんちゃん事業統括部長兼編集長の鈴木健介さん。そうです、インドなんです。8月8日公開の劇場版最新作「超華麗!灼熱(しゃくねつ)のカスカベダンサーズ」はインドが舞台。歌と踊りがいっぱいの「インドっぽい」にぎやかな映画になっていますが、芯となるドラマは「昨年に続きシリアスじゃない? しんちゃん何だかマジメじゃない?」という印象も抱きました。シンエイ動画の赤木あいプロデューサーと鈴木さんにインタビューしました。
しんのすけ、風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんの「カスカベ防衛隊」5人がダンス大会で優勝してインドに招待され、父ひろしや母みさえらも同行。現地のステージでダンスを披露する前にインド観光を楽しむが、怪しげな雑貨店で買ったデカい鼻の形のリュックサック(?)から飛び出ていた紙片をボーちゃんが鼻に挿すと、邪悪な欲望のまま突き進む「暴君(ボーくん)」と化し、その大暴れにより一行はバラバラに! しんのすけが持つもう1枚の紙片を巡り、暴君ボーちゃん、暑苦しい刑事コンビのカビールとディル、若き大富豪ウルフ、SNSで人気の歌姫アリアーナらが入り乱れ、巨大フェス会場で大決戦!――という物語。
刑事コンビは濃い顔のむっちりマッチョで「インド映画あるある」な感じ。下町っぽい路地を独りさまようしんのすけは街の人たちと「オラはにんきもの」を歌って踊って盛り上がって溶け込んじゃう。これもインドっぽい。
赤木さん「2023年の9月に監督の橋本昌和さん、脚本のうえのきみこさん、そして美術スタッフがデリーからジャイプールあたりを車で走って約1週間ロケハンしました。アニメは基本ウソですけど、インドの人が見て劇中のインドがウソだと思われたくなかったので、しんちゃんがダンスする街の風景など、しっかりロケハンの成果を生かしてリアルなインドになっていると思います」
「『オラはにんきもの』はイ…