がん細胞をAI(人工知能)が発見する――。そんなシステム開発に「ブレイン」(兵庫県西脇市)が挑戦しています。基にしたのはパン店の会計で使われる画像識別システム。大阪・関西万博に出展し、そのユニークな技術が注目を集めました。

カンサイのカイシャ ここがオモロイ!

「今後ますますAIが欠かせなくなってくる」と話すブレイン事業推進部長の多鹿一良さん(左)。画面はAIが判断したがん細胞の画像=兵庫県西脇市鹿野町

 がん細胞は、ほかの細胞と比べて核の形状がいびつだったり、大きかったりする。同社が開発中の「がん細胞診断支援システム」は、顕微鏡で拡大した細胞の画像でその特徴を見つけ出し、がん細胞と判断した根拠も数値で示す。24時間稼働できるため、病理医の負担軽減も期待できるという。

 万博では、大阪の中小企業やスタートアップ企業など400社以上が参加する大阪ヘルスケアパビリオンに、取引のある大阪のデザイン会社と共同出展した。テストランを含めて4月20日までの約10日間参加した。

 システムを動画で紹介するだけでなく、来訪者にゲームで疑似体験してもらった。画面に映された細胞の中から、がん細胞をどれだけ見分けてタッチできるかを競う仕様だ。

大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンで、がん細胞を見分けて画面をタッチするゲームに参加する来場者ら=2025年4月18日、大阪市此花区、大久保直樹撮影

 会場では大勢が足を止めていた。中にはがんで亡くなった知人のことを話し、「早く実用化できるようがんばってください」と激励の言葉をかけてくれた人もいたという。

 システムは同社が2013年に実用化したパン店などのためのAIレジ「ベーカリースキャン」が基になっている。店員がパンの種類を確認して、レジに手入力するところを、スキャンは、あらかじめ数値化されたパンの形状や具材の有無、焼き具合などのデータを基に、AIが識別して会計。複数のパンでも一瞬で計算する。現在は国内外で約1700台が稼働しているという。

きっかけは「パンが、がん細胞に見えた」

 がん細胞を識別するシステム…

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