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小学生のころの沖縄尚学・真喜志主将と母の奈津美さん=奈津美さん提供

(23日、第107回全国高校野球選手権大会決勝 沖縄尚学3―1日大三)

 夏の甲子園大会では初めての決勝の舞台に、沖縄尚学が立った。

 2―1で迎えた八回表、1死無走者。主将としてチームを引っ張る2番打者の真喜志(まきし)拓斗(たくと)選手が打席に立った。

 初球を右前に運んで出塁。次打者の犠打で二塁に進み、4番打者の宜野座恵夢選手の適時打で勝利を決定付ける3点目のホームを踏んだ。

 九回裏、1死一、三塁の場面では、強い打球が遊撃を守る自分に飛んできた。163センチの小柄な体で止めて、二塁手へ。さらに一塁手に転送されてダブルプレーが完成。初優勝が決まった。

 「このチームには暑さに負けない熱さがあります。勝ちます」

 三塁側のアルプス席でそう話しながら選手たちの登場を待っていたのは、真喜志選手の母・奈津美さんだ。

 この日、45歳の誕生日を迎えた。

 母子家庭で育った息子は「甲子園でプレーすること」を夢見てきた。

 夢をかなえた息子を支えた母は、何を思い、この夏、何を願ったのか。

やりたいことをやってほしかった

 タークーが野球を始めたのは小学2年生のとき。野球チームに入っていた友だちから「野球、うまいね。やろう」と誘われたってうれしそうに話してくれたね。

 お母さんは「やりたいことをやって大きくなってほしい」と思ってた。息子はあなたしかいないから。

 毎日、家の隣の空き地でバドミントンの羽根をトスしてタークーが打った。お母さんのコントロールが悪くて、タークーに「ここに投げて」と怒られながら。

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小学生のころ、バドミントンの羽根を打つ沖縄尚学の真喜志拓斗選手=母の奈津美さん提供

 お母さんは土日が仕事で、ほとんど応援に行けなかった。でも、遠征や大事な大会は必ず行った。

 中学校の全国大会で、横浜ス…

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