記者コラム 「多事奏論」 編集委員・高橋純子
「人物評の定番に『器が大きい/小さい』があるが、はて、岸田文雄首相はどっちだろう?……うむ。大小の問題ではもはやないな。器がザル」「首相の任を全うすること能(あた)わザルなり。自ら身を引けぬなら、解散・総選挙で国民の信を問え」と当欄に書いたのは昨年11月。
「もう言い飽きたからこれで最後にしたいのだけれど、岸田文雄氏は首相としての資質を欠いている。私はそう結論している」と書いたのは今年2月。
ゆえに自民党総裁選に出ないと聞いても「ああそうですか。そんなことよりトコロテン食べません?」でしかない。世の中の関心も驚くほど低い。そりゃそうだろう。岸田氏はこの3年、国民とまともに目線を合わせてこなかったのだから。自業自得、ザルから出たサビ。ちなみに私はトコロテン好きではない。
誰のため、何のために政治家になったのかわからない。首相になること自体が目的化し、首相になってなにをやりたいかが見えない――。かねて指摘してきた岸田氏の特質が、8月14日の不出馬会見には見事に「全部のせ」されていた。
民への謝罪は一言たりとてな…