混乱が続いてきた兵庫県政を象徴するかのように、昨年の知事選や内部告発文書をめぐり、刑事告訴・告発が相次いでいる。誹謗(ひぼう)中傷を受けた県議は被害届を提出した。主な事案や捜査のポイントをまとめた。
まず経緯を振り返る。
発端は昨年3月、斎藤元彦知事のパワハラに関する疑惑などを指摘する文書を、元西播磨県民局長が一部の報道機関などに配布したことだった。
斎藤知事は会見で疑惑を否定したうえで、元県民局長について「うそ八百」「公務員失格」などと非難した。
これに対し県議会は昨年6月、疑惑の真偽や県の告発者への対応の是非を調査する調査特別委員会(百条委員会)を半世紀ぶりに設置した。
しかし調査が始まったさなかの7月、元県民局長が死亡。自死とみられ、事態は急変した。
9月、県議会で不信任決議が全会一致で可決された斎藤知事は自動失職。11月の出直し選で約110万票を集めて再選された。
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知事選めぐり、元検事が刑事告発
相次ぐ告訴、告発の多くは、この知事選に絡む。その一つが斎藤知事の買収疑惑だ。
県内のPR会社社長が斎藤陣営の「広報全般を任せていただいていた」などとインターネット上に投稿。選挙期間中に斎藤陣営が使用した四つの公式SNSを「監修者」として「運用した」などと記載され、「兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」とも書かれていた。
斎藤陣営からPR会社に支払われた約70万円が、社長のSNS運用などへの報酬に当たるとして、元東京地検検事の郷原信郎弁護士らは斎藤知事と社長を公職選挙法違反(買収、被買収)容疑で刑事告発した。
公選法では、事務員や車上運動員などの例外を除き、原則として選挙運動への報酬の支払いを禁じている。
総務省選挙課によると、業者がSNSの管理や企画・立案について、機械的な単純作業ではなく、主体的・裁量的に関わった場合、選挙運動とみなされるおそれが高い。
立件のポイントは①社長は選…