インドネシア・ジャカルタ郊外で11日、会談前の歓迎式典に臨む石破茂首相(中央左)とインドネシアのプラボウォ大統領=AP

 日インドネシアの両首脳が安保協力強化で合意した背景は、東シナ海、南シナ海で軍事活動を活発化させる中国の存在が念頭にある。ただ、グローバルサウスの主要国であり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の盟主的存在であるインドネシアは国益をしたたかに追求する「全方位外交」を掲げ、中国とも経済関係を深める。インドネシアを日米陣営側に引きつけ、中国の海洋進出を抑えたい日本の思惑の実現は簡単ではない。

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 「共に島国だ。米国、中国の大国の間でバランスに配慮しながら外交を進めていく点において、非常に似ている」。ジャカルタ郊外のボゴール宮殿で開かれた首脳会談の冒頭、石破茂首相は日本とインドネシアとの共通点を強調した。

 日本は2015年、ASEANのメンバー国としては初めてインドネシアと外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を実施するなど同国との安保協力を重視してきた。今回の会談では21年3月以来の2プラス2開催で一致し、日本が同志国に防衛装備品などを無償提供する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を活用し、高速警備艇を供与することを確認した。日本はインドネシアと同様に、南シナ海で中国と対立するフィリピンやベトナムの海洋安全保障能力向上への支援にも力を入れている。

インドネシア、中国とも関係深める

 インドネシアにとっても、日…

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