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バングラデシュでは、LIXILの簡易式トイレ「SATO」を使いながら、衛生と健康に関するセミナーも開かれている=2024年6月、同社提供

トイレを究める㊦

 戦後日本のトイレにとって、1958年は大きな起点となる。高度成長期の住宅難から、都市近郊などで建設が急ピッチで進んだ公団住宅に初めて、「洋風便器」が入った年だ。下水道が普及して浄化槽が置かれる地域が広がり、水洗化と洋式化はほぼ一緒に進む。

 「TOTO」と「INAX」の2大ブランドはその後、画期的な機能を次々に誕生させた。

 座ったときの冷たさから解放される暖房便座や、おしりを洗う温水洗浄の機能は60年代後半に登場した。82年には、アーティストの戸川純さんが出演するTOTOの「ウォシュレット」のテレビCM「おしりだって、洗ってほしい。」が話題を呼ぶ。女性向けのビデ機能もついて、温水洗浄便座の世帯普及率はいま、8割を超えた。

 都市部でたびたび起きた水不足に対応するため、少ない水でしっかり流せる節水型の開発も進んだ。ふたの自動開閉や自動洗浄、空間を広く使えるタンクレス型のお目見えは90年代。汚れがつきにくく落ちやすい、水を回しながら流す洗浄方式や便器内側の新素材も生まれ、ふち裏のくぼみはなだらかになる。

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トイレ2大ブランドが機能を競ってきた

 次にめざすのは、やはり世界だ。TOTOも「INAX」ブランドのLIXILも、国内の人口減を見越して、欧米や中国、アジアなどで温水洗浄便座や高級機種の販売に注力する。TOTOは、2024年3月期の海外売上比率が、浴槽などを含めて約3割。節水型も成長の軸の一つと位置づける。

世界の半数が使えない「安全で衛生的なトイレ」

 グローバル商品の開発を手が…

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