Re:Ron特集「わたしの名前」③ みょうじなまえさん
個人と社会の境界にあるのが「名前」です。個人のアイデンティティーであると同時に、社会状況も大きく影響を受けます。「私」をどう名乗るのか、どう名乗れるのか、名乗れないのか。名前に込めた思いについての「聞き語り」をシリーズでお届けします。
「みょうじなまえ」は、アーティストとして活動する際に使っている名前です。名前には性別や年齢、国籍といったものが記号のように付随しています。作家としての名前は、そうしたものを一度解体したいと考えました。
作品の中で、女性性や「自分とは何か」というアイデンティティーを問い続けてきました。長い間、自分自身のアイデンティティーに葛藤を抱えてきたからです。
子どもの頃、母親から男の子のように育てられ、私もそう振る舞ううちに、自分の女性性に対して違和感を抱くようになりました。芸大を目指して浪人していた時には、妊娠と中絶を体験しました。「子どもを産む身体を、自分自身が否定した」という体験によって、「自分が女性である意味とは何なんだろう」とアイデンティティーを喪失した状態に陥ってしまいました。
どちらも「自分ではない」感覚
だからアーティストとしての…