Smiley face
立正大学の西田公昭教授
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 「私は、だまされない」。記者(28)の祖母(81)はそう思っていましたが、昨夏、特殊詐欺の被害に遭いました。被害額は100万円。特殊詐欺のニュースを見ながら「なんで、あんな詐欺に引っかかってしまうのか」と首をかしげる人も多いのではないでしょうか。被害者心理に詳しい立正大学心理学部の西田公昭教授(社会心理学)に解説してもらいました。

  • 【被害者の視点】「孫助けたい」信じた電話 100万円渡した祖母と受け子がたどる道

 ――高齢者が被害に遭いやすいと言われます。年齢とともに認知機能が低下することと関係がありますか。

 完全な勘違いです。家族の危機を察知し、時には銀行の制止を振り切ってまでお金を渡す。これは認知機能がしっかりしていないとできない。実際、働き盛りや若者、いろいろな世代が巻き込まれているんです。

 ――実際にオレオレ詐欺の被害に遭った人の8割近くが、「自分は被害に遭わないと思っていた」と答えたという調査結果もあります。

 警戒できていないわけだから、だまされやすいのは当然ですよね。「私はだまされない」と思って、無防備になってしまっている。自分の弱さを知らない「脆弱(ぜいじゃく)性の無知」と言うんですけどね。自分が弱い、もろい、だまされやすいと分かっていないから、誰かが被害に遭ったと報道されても「ひとごと」としか思っていない。だから、無警戒なんです。

 ――なぜ人は「自分は大丈夫」と思い込んでしまうのでしょうか。 

 非現実的楽観主義といって…

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