Smiley face
写真・図版
「ほんとに小さな子は戦争について知らなくてもいい。少し大きくなったら、戦争のひとしずくの悲しみを知ってもらいたい。大人に足を踏み入れる中高生は、真剣に自分で調べて戦争を考えてほしい」と話すあまんきみこさん=京都府長岡京市
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 旧満州(中国東北部)で生まれ育った児童文学作家のあまんきみこさん(94)。戦争のかげに小さな命をとじた「ちいちゃんのかげおくり」や「おはじきの木」などの作品で知られます。戦後80年の今年は、満州での体験がきっかけとなった絵本「さくらが さいた」を出版しました。戦争に向き合ってきた理由や子どもたちへの思いを聞きました。

     ◇

 旧満州の撫順で生まれました。父が満鉄(南満州鉄道株式会社)の関連会社で働いていた関係で、新京(現・長春市)、大連と移り、子ども時代を中国で過ごしました。

 祖父母やおばとも暮らし、私は大人たちに守られて、たくさんのお話を聞かせてもらい、本を読み育ちました。

 終戦の間近、ソ連の満州侵攻で、怖い思いもしましたが、幼少期や少女時代は、実は楽しい思い出も多いのです。

 体が弱かったので、休む日も多かったけれど、学校では、軍服を縫う作業をしたり、手榴弾を投げる練習をしたり……。今、考えると、へんなところもいっぱいあったけれど、そのときは「平和のための戦争」を何も疑わずにいました。

知らなかったこと「恥ずかしいと思って生きてきた」

 ずっと、あとから知りました…

共有