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 電力産業で働く労働者のストライキ権を規制している法律を廃止するべきか――。厚生労働省の審議会でそんな議論が行われている。「安定供給」を主張する経営側と、「スト権の回復」を主張する労働側との隔たりは大きく、結論は見えていない。

 「スト規制法は歴史的役割を終えた。廃止すべきだ」

 「労働基本権が制約されている現状は理解しがたい。ひとしく保障されるべきだ」

 27日に東京・霞が関の厚労省で開かれた審議会で、労働側がこのように見直しを訴えたのに対し、経営側は「電気の安定供給の必要性が高まっている」との主張を譲らず、議論は平行線をたどった。

戦後まもなく制定 震災後に論点に

 スト規制法は、戦後ほどなくして起きた電力と石炭鉱業におけるストライキが、国民生活や経済に与える影響を抑制するために1953年に制定された。現在は、発電を担う会社は1千社以上あるが、発電や送配電の大手計25社が規制対象となっており、運転管理やテロ対策などを担う労働者のストが禁じられている。

写真・図版
発電所のストライキを知らせる貼り紙=1952年12月

 厚労省が2024年から審議会で議論を始めたきっかけは、東日本大震災の原発事故をきっかけに13年から始まった「電力システム改革」だ。地域独占だった電力事業が自由化され、発電会社が増えるなどすればストへの規制が不要になるということがひとつの論点だった。15年改正では大手電力会社の発送電分離にともなう分社化に関連した条文変更にとどまったが、衆参の経済産業委員会は、スト規制法について電力システム改革を検証するタイミングにあわせ「廃止も含めた検討を行い、結論を得る」との付帯決議を付けた。

労使で意見割れる 厚労省は

 労働側は「スト規制法がなく…

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