Why the World’s Biggest Powers Can’t Stop a Middle East War
ほぼ1年にわたる中東での戦争で、大国は戦闘を止めることも、戦闘に大きな影響を与えることさえもできないことが証明された。その失敗は、今後も続くであろう多極化した激動の世界を反映している。
ガザでの戦闘を終結させるためのイスラエルと(イスラム組織)ハマスの一進一退の交渉は、米国が後押しし、バイデン政権によって何度も妥結寸前と言われてきたが、失敗に終わっている。レバノンにおけるイスラエルと(シーア派組織)ヒズボラの全面戦争を回避しようとする欧米主導の現在の試みは、惨事を回避しようとあわてふためいているのに等しい。それが成功する可能性は、ヒズボラの長年の指導者であるナスララ師が9月27日にイスラエルによって殺害された後、ひどく不確かなものとなっている。
「遠心力が求心力よりはるかに強い世界では、より多くの能力がより多くの者の手中にある」。(米シンクタンク)「外交問題評議会[the Council on Foreign Relations]」のリチャード・ハース名誉会長は言う。「中東は、この危険な分断についての最も重要な事例研究になる」
ナスララ師は30年以上にわたりヒズボラの指導者であり、シーア派組織を世界で最も強力な非国家的な武装勢力に育て上げた人物である。彼が殺害されたことで、ヒズボラは彼の死によって生じた空白を埋めるのに長い時間を要するであろう。ヒズボラの主要な支援者であるイランにとっては大きな打撃であり、イランの現体制を不安定化させる可能性さえある。レバノンで全面戦争[full-scale war]が起こるかどうかは、まだ不透明だ。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
イスラエルがレバノンを地上侵攻するなど、中東情勢は混迷を深めています。NYTパリ支局長は、米国の影響力が低下したことや、他国が傍観してきたことを指摘しています。
「ナスララ師はヒズボラのす…