貝瀬秋彦・ソウル支局長の視点
非常戒厳を出した韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の弾劾(だんがい)訴追案が可決された。罷免(ひめん)に値するかは憲法裁判所の判断に委ねられるが、思い通りにならない野党を非難し、軍や警察を動員して市民の権利を奪おうとしたことの重大さを考えれば、この流れは当然だろう。
デモや集会を含む一切の政治活動を禁じ、メディアも統制を受ける。非常戒厳に伴う布告令を見たときは目を疑った。
- 尹大統領の弾劾訴追案が可決、職務停止に 弾劾審判で罷免を判断へ
だが、国会の解除要請で非常戒厳は約6時間で解除された。弾劾訴追は与党の反対で一度は不成立となったが、今回は弾劾を求める強い世論も背に与党議員の一部も賛成に回った。多くの苦難の末に市民が勝ち取ったこの国の民主主義は、何とか持ちこたえた。
この事態の背景には韓国政治…