口内のほおの粘膜を調べるだけで食道がんかどうかがわかる方法を、京都大学などの研究チームが開発した。遺伝子の変異から食道がんのリスクとなる飲酒量などを推定し、食道がんの有無を確認する。今後は発症前からリスクを正確に予測し、早期発見や予防をめざす。研究チームは海外も含め新たな検査法として普及をにらみ、国際特許を出願中だ。
食道がんは、飲酒や喫煙などで遺伝子の変異が起きて異常な細胞となり、年をとるにつれてその細胞が増殖してがんになるとされる。日本人はアルコールを代謝しにくい体質の人が多く、そうした人は代謝できる人に比べて食道がんになる割合が8~10倍高い。
研究チームは、食道とほおの粘膜が同じ扁平(へんぺい)上皮細胞でできており、細胞の変異も同じように起きていることに着目。40~94歳の男女で、食道がんの患者121人と食道がんではない101人のほおの粘膜を綿棒でこすって採取し、食道がんとの関係性を調べた。
がんの増殖にかかわる遺伝子やアルコールの代謝にかかわる五つの遺伝子の変異を28平方ミリの粘膜の細胞で調べたところ、アルコールを代謝しにくい人で85%、代謝しやすい人で79%の確率で食道がんの有無を見分けることができた。今後は、現時点で発症していない人が食道がんになるかどうかを追跡し、個々人のがんの発症確率を予測できるようにする。
アルコール代謝がしやすい人…