三牧聖子さん=2023年4月5日午後、東京都中央区、川村直子撮影

同志社大学准教授 三牧聖子氏

 歴史的な激戦となった米大統領選で、トランプ前大統領が2度目の当選を果たしました。女性初に期待のかかったハリス副大統領はなぜ大統領の座に届かなかったのか。これからの民主党の課題は何か。米国の政治と外交を専攻し、現代米国社会に詳しい三牧聖子さんに聞きました。

 ――米国のガラスの天井は硬いようです。

 「黒人の父とインド出身の母から生まれた女性が大統領になれば、米国社会にとって歴史的な出来事になったことでしょう。ただ、不法移民問題やインフレなど、ハリス氏の敗因はたくさんあり、ジェンダーや人種がハリス氏苦戦の主要な要因かは今後の見極めが必要でしょう」

 ――どういうことでしょう?

 「2016年にトランプ氏と争ったヒラリー・クリントン氏が、『女性初』を強く意識させる選挙戦を展開し、敗れました。今回はその反省からジェンダーを強調しない戦略を取っていました。女性には軍を統括する安全保障は担えないといった偏見の払拭(ふっしょく)にも努めていました。人種とジェンダーの存在を封印して選挙戦に挑んだこと自体が、ガラスの天井と呼ばれる状態だったのかもしれません。出口調査などでも、白人男性だけでなく、黒人やヒスパニックの男性からもあまり支持を受けられなかったことが明らかになりつつあります」

「権利後退する初めての世代」に危機感

 ――ガラスの天井を突破させようと、女性有権者が全国で支持をしたのでは。

 「もちろん、その点は間違い…

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