東京都板橋区立郷土資料館(同区赤塚5丁目)で、地域の戦争体験を伝える「戦後80年 区民が生きた戦争の時代」展が開かれている。戦地に行った人や板橋で戦災に遭った15人の体験談や手記のほか、当時のチラシや回覧板など約200点が展示されている。
やせ細って疎開先から戻り「骸骨」と言われた人、赤紙(臨時召集令状)が届いて喜んだという人、戦地に行くことが怖くて終戦にホッとしたという人、農家で食べるものには困らなかったという人――。1925(大正14)年から38(昭和13)年生まれの15人の体験談は、図録にまとめられている。
チラシには「国債でさあ!もう一機もう一艦!」や「貯蓄戦線・我が家の総合戦果を調べて見よう」など、勇ましい文字が躍り、回覧板の「金属類非常回収実施」などの表記からは、金属や資源が不足していたことがうかがえる。
企画した同館学芸員の増田由貴さん(39)は、今回の展示の目的について「『遠いどこかであった話』ではなく、毎日歩いている道や通っている学校、住んでいる家の近くで戦時中にあったことを知ってほしい」と話す。
同区には、空襲を受けた地域もあれば、疎開を受け入れた国民学校(小学校)や、武器・弾薬の製造や保管をする陸軍造兵廠(しょう)だった場所もある。増田さんによると、多様な戦争体験を記録し、残すことが、展示のもう一つの目的という。
9月21日まで。月曜休館(祝日の場合は翌火曜)。問い合わせは同館(03・5998・0081)。
親子3代 戦争を知り、伝える
「まるで『あんぱん』みたい」
体験談を寄せた一人、芝宮俊枝さん(93)の娘の野口幸子さん(60)は、放送中のNHK連続テレビ小説に母の体験を重ね、驚きを口にした。
俊枝さん、幸子さん夫婦、そして孫の野口愛美さん(28)は7月27日、一緒に展示会に訪れた。
幸子さんは母からこれまでも…