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 ペンとノートを手放して、まわしを締めて土俵を駆けた。4月中旬。32歳の「新弟子」として、錣山部屋の朝稽古に加えてもらった。

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稽古前にまわしを締める記者たち=2025年4月15日、東京都江東区、友永翔大撮影
  • 48歳新人番記者、かわいがられて蘇った青春

 稽古は午前8時ごろから始まった。人生で初めてまわしを締めたが、腰回りを固定すると不思議な安心感があり、「いよいよだ」と気も引き締まる感じがした。

 準備運動をして、まずは四股踏み。

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錣山部屋の稽古に参加した記者たち=2025年4月15日、東京都江東区、友永翔大撮影

 「両足を開いて」「(軸足の)ひざを伸ばして」と錣山親方(元小結豊真将)の指導を受けながら、「兄弟子」の力士たちのまねをして踏んでみる。ひざを伸ばすと重心が安定せず、足を振り上げた際によろけてしまうし、そもそも足が上がらない。2、3回やると、すぐに股関節付近が痛くなってきた。30回を数えるころには、体中から汗が噴き出て止まらない。何度も見てきた基本動作だが、筋力にバランス感覚、体の柔軟性を必要とし、目に映る何倍もの疲労感があった。

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朝稽古を体験した記者の背中から汗が噴き出ていた=2025年4月15日、東京都江東区、友永翔大撮影

 四股を100回踏んだ後は、腰割り。両足を肩幅よりも広めに開き、つま先を外側に向けて、お尻を落として立つ動作を繰り返す。ワイドスクワットのようなトレーニングだ。これをセットで2回行い、足はパンパンだ。大人数の外国人観光客らが見学に来ていたが、必死だったからか、全く気にはならなかった。

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錣山部屋の稽古に参加した記者(奥)=2025年4月15日、東京都江東区、友永翔大撮影

 親方に胸を出してもらい、ぶ…

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