みずほフィナンシャルグループ本社の看板

 みずほ銀行の元行員が支店の貸金庫から顧客の現金を盗んでいた問題で、加藤勝彦頭取が27日朝、東京都内で報道陣の取材に応じ、「お客様に不安を与えてしまったのは大変申し訳ない」と謝罪した。2019年の問題発覚から5年余りにわたって事案を公表しなかった判断については「被害を受けた方が特定できている。類似事案がないことを確認している。対外公表を望まれない方が一部いた」などと釈明した。

 この問題で、みずほ銀幹部が報道陣に公の場で説明するのは初めて。同行が案内した一部の報道機関のみの取材となり、写真や映像の撮影は不可とされた。

 みずほ銀によると、16年1月ごろから19年6月、広尾支店(東京都)の当時30代の女性行員が顧客2人の貸金庫から、計6600万円を盗んでいた。同年8月に発覚し、10月に懲戒解雇にしている。支店で保管している予備の鍵を不正に入手し、貸金庫を開けていたという。みずほ銀は被害の全額を補償し、当時の担当役員らの処分もしているとした。

 この行員は、融資の申し込みがあったと見せかけて銀行から計約5200万円を盗んだとして窃盗容疑で21年に逮捕された。行内調査で発覚し、調べている過程で貸金庫問題も見つかったという。

 みずほ銀は当時、金融庁に報告したが、公表はしなかった。加藤頭取は「当時公表していれば業界の注意喚起になったのは認識し、真摯(しんし)に受け止めたいが、プロセスをしっかり踏まえて当時は対応していた」と述べた。

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