【動画】桜島の噴火と長年向き合ってきた鹿児島。その備えは=力丸祥子撮影、鹿児島市提供

 富士山が噴火したら、火山灰の影響は首都圏に及ぶかもしれない――。内閣府は今年、活火山が大規模噴火したときの避難指針をまとめ、気象庁も火山灰警報の導入を決めた。いま求められる備えとは。国内有数の火山・桜島を抱え、様々な対策が生活の一部になっている鹿児島市の現場から考える。

噴煙を上げる桜島=2025年4月7日、鹿児島市、鹿児島市立東桜島小学校提供

 ボトッ、ボトッ――。

 5月29日夕、鹿児島県庁に近い市街地に「みぞれ」のように粒の大きい雨が音を立てて降り始めた。見慣れた雨とは違う。駐車場に止めていた白いレンタカーが、瞬く間に泥をかぶったようになった。車や服が汚れるため、地元では「灰雨(はいあめ)」と呼ばれて疎まれる火山灰混じりの雨だ。

鹿児島市内に雨と一緒に降った火山灰。雨と火山灰が混ざり、「灰雨」と呼ばれる=2025年5月29日午後3時59分、鹿児島市

 火山灰は、鹿児島湾を挟んで約9キロ先の桜島から噴き出した。鹿児島地方気象台によると、この20分ほど前に爆発的な噴火が発生。高さ1500メートルまで上がった噴煙に含まれる火山灰が、風に乗って運ばれた。砂のような火山灰は粒子が小さく、軽いほど、遠くまで飛散する。

 桜島は、日本に111ある活…

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