耳の不自由な人が来店したらどう対応したらいいの――。この春、名古屋市の大学を卒業した女性が、カフェで働く人のための手引を作った。アルバイト先の「スタバ」で聴覚障害者への対応に戸惑った経験がきっかけだ。かつて勤めた店で実際に活用されている。

 「お客様は視覚的な情報を頼りにしています。常に目で見える情報に置き換えることを意識しましょう」

 「まずは筆談の有無をジェスチャーで確認。きっと最善のコミュニケーション方法を教えてくれるでしょう」

 手引を作成したのは、3月に椙山女学園大学国際言語コミュニケーション学科(名古屋市千種区)を卒業した杉山真菜さん(22)。3年生の時、異文化トレーニングという授業で知的障害者を取り上げ、特徴や困難なことなどを調べて発表した。

 それがきっかけで言語聴覚士の存在を知り、「耳が聞こえない人のために何かできることはないか」と考えた。

 すぐに手話の勉強を始め、地域のサークルや講座にも通った。ちょうど同じ時期に大手コーヒーチェーン「スターバックス」のアルバイト店員に。自分も含めて、店を訪れた聴覚障害者への理解や対応が不十分な場面に遭遇した。

 例えば、耳が不自由な人にマスクを着けたまま口元を隠して話しかけていたり、補聴器をしている人に大きな声で話しかけたりしていたという。

 杉山さんは、「ストレスや不安を感じている聴覚障害者への配慮が足りない」と感じ、店員向けの案内書を作り始めた。

聴覚障害者に聞き取り 分かったことは

 まずは当事者の聴覚障害者5…

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