日本貿易振興機構(ジェトロ)のアジア経済研究所、世界銀行、朝日新聞社が共催する国際シンポジウム「アフリカはいま 未来を担う若い大陸のチャンスとチャレンジ」が2月12日、東京都内であった。8月20~22日に横浜市で開かれる第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の関連事業で、会場とオンラインで計332人が視聴した。
あいさつに立った世界銀行の高見博・駐日特別代表は「未来、次世代に向けたアフリカの可能性や役割を取り上げて開催できることがうれしい」と話し、朝日新聞社の坂尻顕吾・執行役員編集担当は「アフリカは世界で存在感を高めている」と述べた。
アジア経済研究所の木村福成(ふくなり)所長は、サブサハラ・アフリカ諸国が国連加盟193カ国の4分の1を占めると紹介した。35歳以下の若い世代が多く、21世紀半ばには世界の4人に1人がアフリカ大陸に住むことになるといった状況を説明した。
そのうえで、「アフリカの開発ポテンシャルと克服すべき課題、特に若年層に関することを議論したい」とシンポジウムの趣旨を語った。
基調講演では「グローバルサウスにおけるアフリカ 大陸開発の展望」と題し、ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)のアデバヨ・オルコシ教授が登壇した。
続いて、世界銀行のヴィクトリア・クワクワ副総裁(東部・南部アフリカ担当)が「アフリカにおける格差是正に向けて 生産性・収入の増加と貧困削減の加速のための機会の拡大」、アジア経済研究所の福西隆弘・主任調査研究員(オンライン参加)が「若者の雇用」、網中昭世・主任研究員がモザンビークを例に「若者の政治参加と民主主義への期待」、朝日新聞ヨハネスブルク支局長の今泉奏(すすむ)記者が「アフリカの『選挙イヤー』現場からの報告」と題して、それぞれ報告に立った。
最後に登壇者によるパネルディスカッションが開かれ、視聴者からの質問にも答えた。
- 【パネルディスカッションはこちら】アフリカの若者が求める未来は? 民主化、雇用、経済発展のこれから
サブサハラ・アフリカとは
〈サブサハラ・アフリカ地域〉サハラ砂漠以南の地域で、外務省によると49カ国。エチオピア、南アフリカ、島部のマダガスカルなどがある。
国連によると、女性1人が平均4人以上を出産する国が多い。一方、貧困や不十分な医療などで平均寿命は62歳にとどまる。今後の経済成長で、12億人程度の人口が2054年に22億人、2100年に33億人に増えると見込まれている。
基調講演 アデバヨ・オルコシさん「豊富な資源、全方位外交にチャンス」
「グローバルサウス」(新興国・途上国)の考え方の起源は、1950~60年代にある。東西冷戦下の大国支配を警戒する国々が新しい国際経済秩序を模索する中で広がった。
主に南半球のアフリカ、アジ…