アフリカで栽培されたバナナの茎を原料にした和紙「バナナペーパー」を広めようと、名古屋市の高校3年生が、オリジナルノートをつくった。廃棄される茎を有効活用するだけでなく、森林伐採を減らしたり、貧困で苦しむ農家の新たな収入源につなげたりする狙いがある。31日までクラウドファンディング(CF)で支援を呼びかけている。
取り組むのは、桜花学園高校=名古屋市昭和区=の国際キャリアコースで学ぶ上村優芽さん(18)。同コースが運営する株式会社「MieuxX(ミューズ)」の総務部で最高執行責任者(COO)を務め、発展途上国の産品を適正な価格で取引し、生産者を支えるフェアトレードに取り組んでいる。
上村さんは昨年、新規事業を開拓するための調査中、バナナペーパーの存在を知った。詳しく調べてみると、バナナを収穫した後に捨てられる茎から繊維を取りだし、古紙や認証林の木材からとれたパルプを混ぜてつくられていた。
紙に使う木は育つまでに通常10~30年かかるが、バナナは1年で育つため、森林伐採を減らせて、森をすみかにしている希少動物の保護にもつながるという。
表紙にはアフリカゾウ
原料のバナナ繊維は「ワンプラネット・カフェ」(東京都港区)が、アフリカ・ザンビアから輸入し、福井県にある製紙会社で和紙の製法を使ってバナナペーパーにしている。ザンビアでは、農家の貧困や違法な森林伐採が課題となっているという。
ミューズの活動とは切り離し、個人探究のテーマとして取り組む上村さんは「バナナペーパーをもっと広め、環境を守りながら、バナナ農家の収入確保につなげていきたい」と話す。支援のため、収益の一部を寄付する考えだ。
オリジナルノートはA6判、80ページで100冊をつくった。表紙にザンビアの景色と絶滅の恐れがあるアフリカゾウが描かれている。価格は1冊1300円(税込み)。CF(https://camp-fire.jp/projects/871115/view)の目標額は20万円。27日のオープンスクールで販売するほか、9月からミューズのウェブサイトで購入できる。