「アフリカと共に歩み、解決策を提供しあうパートナーであり続けたい。日本はアフリカの未来を信じ、投資を推進する」。20日、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の開会式で石破茂首相は力を込めた。
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日本が主導してTICADが初めて開催されたのは1993年。冷戦終結に伴い、欧米がアフリカ援助から手を引く中、日本は国際社会の関心を呼び戻そうとした。当時、日本は世界最大のODA(政府の途上国援助)ドナーであり、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指し、50を超える「大票田」のアフリカから票を得る狙いもあった。
5年おきだった開催期間は、2016年以降は3年ごとに短縮。16年のTICAD6で、安倍晋三首相(当時)がアジアからアフリカに至る地域の安定を目指して「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を発表した。
現在の日本にとっても、アフリカはグローバルサウス(新興国・途上国)の主要な一角を占め、資源大国でもあることから重要な存在だ。23年には、当時の岸田文雄首相がアフリカ4カ国、林芳正外相がアフリカ3カ国を訪問するなどし、関係強化を図ってきた。トランプ米政権が米国際開発局(USAID)を解体し、欧州も防衛費増額でアフリカへの援助額を削減する傾向にある中、日本政府関係者は「アフリカ諸国から日本への期待感は強い」と語る。
勢い欠く日本からの投資
ただ期待とは裏腹に、日本のアフリカ投資は伸びていない。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本のアフリカへの直接投資残高は2023年末で約80億ドル。コロナ禍で大きく落ち込んだ後、回復傾向だが、13年にピークの約120億ドルを記録したときほどの勢いはない。
他国に後れを取る背景には…