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パレスチナ自治区ガザ南部のラファで2024年5月23日、イスラエル軍の攻撃で家を追われ、テントでの避難生活を送る住民=ロイター
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 国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は24日、パレスチナ自治区ガザに侵攻するイスラエルに対し、暫定措置としてガザ南部ラファでの軍事作戦の即時停止などを命じた。だが、イスラエル側は戦闘継続の姿勢を堅持。その後もラファで空爆を行い、壊滅的な人道状況に歯止めがかかる見通しは立たない。

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 ICJはこれまで、ジェノサイド(集団殺害)行為を防ぐ「全ての手段」を講じるよう命じていたが、今回、初めて軍事作戦の停止に踏み込んだ。サラム裁判長は「イスラエルのラファへの軍事作戦は、さらなる回復不能な損害を発生させる危険がある」と決定理由を述べた。

 イスラエルの攻撃がジェノサイドにあたるとしてICJに提訴した南アフリカや、地域大国のサウジアラビア、エジプトは今回の判断を歓迎。南アのラマポーザ大統領は、世界各国に向けて「イスラエルとの関係を再考する」ことを求めるなど、国際的な圧力は強まっている。グテーレス国連事務総長は24日、「(イスラエルなどの)当事者が裁判所の命令に従うと信じている」との声明を報道官を通じて出した。

 だが、イスラエル側に作戦停止の兆候はない。戦時内閣メンバーのガンツ前国防相は24日、声明で「人質を取り戻し、自国民の安全を確保するため、イスラエルはラファを含め、いついかなる場所でも戦う義務がある」と強調。AFP通信などによると、イスラエル軍は25日もラファなどを空爆し、停止命令の「範囲外」となったガザ北部や中部での攻撃もやめてはいない。

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