イスラム組織ハマスとの交渉で人質解放と停戦を実現しないイスラエルのネタニヤフ政権に対して抗議の声をあげる市民たち=2024年9月1日、テルアビブ、イド・タットナーワ―撮影

 パレスチナ自治区ガザでイスラエル側の人質6人が遺体で発見されたことが、イスラエル社会に衝撃を与えている。1日、イスラム組織ハマスとの停戦合意を求める大規模デモが全国各地に広がった。早く合意を実現していれば、人質は助けられた――。市民が怒りの声を上げるなか、政権内部からも停戦圧力がかつてなく強まっている。

 1日夜、商都テルアビブ中心部は数十万人の市民で埋め尽くされた。人々はプラカードや横断幕を手に「今こそ停戦だ!」などと叫びながら練り歩き、幹線道路を封鎖。一刻も早く人質を救出するよう訴えた。参加者の一部と治安部隊が衝突する事態にまで発展した。

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 これまで繰り返し、人質解放を求めるデモに参加してきた大学生のガイ・ゼハビさん(27)は、「デモの雰囲気がいつもと違い、緊張感が高まっている。政治の判断で人質の命が失われていると思うと悔しい」と話す。

 イスラエルとハマスの停戦・人質解放交渉は続いているが、停戦後にイスラエル軍が駐留する場所や規模をめぐって両者が歩み寄りを見せず、停滞が続く。

 イスラエルメディアによると、安全保障関連閣議は29日、ガザとエジプトとの間の緩衝地帯に引き続き軍を駐留させる方針を承認。これはネタニヤフ氏の持論で、米国が発表した恒久停戦を見据えた案への合意を拒否したかたちだ。

 今回、市民の不満が爆発した…

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