イランが報復攻撃後、エルサレム上空で迎撃が見られた=ロイター

 イスラエル軍のハガリ報道官は14日の記者会見で、イラン領土から数十機のドローン(無人機)やミサイルなど「計200以上の脅威」がイスラエルに向かって発射されたことを確認した、と発表しました。大半は国外で迎撃したとして、「イスラエル領内に落下したミサイルは数発だ」と述べ、現地点では子ども1人が負傷し、南部の軍基地で軽微な被害があったとしています。

 一方、イラン外務省は14日、声明を発表し、攻撃はイスラエル側の軍事基地を標的にしたものと主張。「(イスラエルによるとみられるシリアのイラン大使館空爆に対して)国連憲章に規定された正当な防衛の権利を行使した」と説明しています。

イランの首都テヘランで2024年4月14日、イランがイスラエルに対して攻撃した後、米軍によって4年前に暗殺されたイランの革命防衛隊のソレイマニ司令官の肖像を街頭で掲げる人。WANA提供=ロイター

イスラエル・パレスチナ問題をめぐる動きを時系列でお伝えします。

  • 【そもそも解説】イスラエルとパレスチナなぜ対立 和平交渉の現状は
  • パレスチナ問題は宗教対立じゃない? 複雑な事情をやさしく解説
  • 【一つ前】3月26日~4月12日の動き(日本時間)

■■■2024年4月14日(日本時間)の動き■■■

ネタニヤフ首相、バイデン米大統領と電話協議

 イランからのドローンなどによる攻撃を受け、イスラエルのネタニヤフ首相は14日午前4時半(日本時間午前10時半)現在、バイデン米大統領と電話で協議している。イスラエル首相府が発表した。

バイデン大統領、別荘から急きょホワイトハウスへ

 イランがイスラエルに向けて無人機(ドローン)などによる攻撃をしたことを受け、バイデン米大統領は13日、週末を過ごす予定だったデラウェア州の別荘から急きょホワイトハウスに戻った。

 米国家安全保障会議のワトソン報道官は声明で、イランの攻撃を把握しているとした上で、「大統領は国家安全保障チームから定期的に状況の報告を受けており、13日午後、ホワイトハウスでチームと会議を開く」と述べた。

 また「イスラエル政府の関係者、その他のパートナーや同盟国と常に連絡を取り合っている。この攻撃は数時間以上にわたって展開される可能性が高い」とし、「米国の立場はイスラエルの人々とともにあり、イランの脅威に対する防衛を支援する」と表明した。

イスラエル軍、イランの攻撃は「計200発以上」と発表

 イランからのドローンなどによる攻撃をめぐり、イスラエル軍は14日、攻撃は「計200発以上」に及ぶと発表した。大半は国外で迎撃したとしている。イスラエル領内に落下したミサイルは数発で、現地点では子ども1人が負傷し、南部の軍基地で軽微な被害があったという。

 軍のハガリ報道官は、イスラエル空軍機が10発以上の巡航ミサイルを国境の外で迎撃した、と説明。無人機やミサイルなど「計200発以上が発射された」と述べた。そのうえで「このできごとは、まだ続いている」とし、防衛のための配備を続けていると強調した。

イスラエル国防相、米国のオースティン国防長官と電話協議

 イランがイスラエルにドローン(無人機)やミサイルを発射したことをめぐり、イスラエルのガラント国防相は14日、米国のオースティン国防長官と電話で協議した。イスラエル首相府が発表した。

 同首相府の声明によると、ガラント氏はイランの攻撃に対するイスラエル側の防衛作戦について説明。オースティン氏への謝意を伝えたうえで「国防当局は、イスラエル国家を攻撃するいかなるさらなる試みにも備えている」と主張したという。

イラン外務省、ミサイル発射は「正当な防衛の権利」と声明発表

 イランがミサイルなどをイスラエルに発射したことを受け、イラン外務省は14日、声明を発表した。「(イスラエルによるとみられるシリアのイラン大使館空爆に対して)国連憲章に規定された正当な防衛の権利を行使した」と説明している。

 声明では、イスラエル側の軍事基地を標的にしたと主張。攻撃はイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの侵攻が続く中での「防衛的な措置」だったとし、「地域的、国際的な平和と安全に対する、イランの責任あるアプローチを示している」と自賛している。

 声明はその上で、「必要であれば、イランはいかなる攻撃的な軍事行動に対しても、さらなる防衛的措置をとることをためらわない」と主張。イスラエル側の報復を牽制(けんせい)する意図とみられる。

イスラエル南部で少女1人負傷 イランからのドローン攻撃で

 イランからのドローンなどによる攻撃を受け、イスラエル軍のハガリ報道官は14日、イスラエル南部で少女1人が負傷し、軍事基地で「わずかな被害」が出たと発表した。地元メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」が伝えた。

 報道によると、ハガリ氏は、ほとんどのミサイルがイスラエル領空の外で迎撃システムにより撃ち落とされた、と説明した。少女の負傷はイスラエル南部ネゲブで、迎撃後の破片によるものという。

写真・図版
2024年4月14日、イランがイスラエルに対してドローン(無人機)とミサイルを発射した後、エルサレムの上空で確認された物体=ロイター

イラン側メディア「無人機がイスラエル空軍基地に着弾」と報道

 イランがイスラエルにドローン(無人機)やミサイルを発射したことに絡み、イラン政府の公式日刊紙であるイラン新聞は14日、イスラエル南部ネゲブの空軍基地を「ミサイルで成功裏に攻撃した」とX(旧ツイッター)に投稿した。

 投稿によると、この基地はイスラエルで最も重要な航空基地だとしている。真偽は不明だが、投稿には暗闇の中、広い範囲で火災が発生し、爆発が起きている様子の映像も添えられている。

 イラン国営プレスTVも14日、ミサイルがネゲブの空軍基地に着弾したと報じた。

イラン政府「米国は離れていなければならない」 Xに投稿

 イランがイスラエルにドローン(無人機)やミサイルを発射したことをめぐり、イラン政府の国連代表部は14日(イラン時間)、「この問題は終結したとみなすことができる」とX(旧ツイッター)に投稿した。

 投稿は攻撃について、シリアのイラン大使館への空爆に対する報復だったと説明。「イスラエルが再び過ちを犯すことがあれば、イランの対応はさらに厳しくなるだろう」と警告した。

 また、この問題はイランとイスラエルの紛争だとして、アルファベットの大文字で「米国は離れていなければならない!」と強調して記した。

 イランとしてはこの報復攻撃をもって早期に幕引きを図り、米国の介入を避けたい意図があるとみられる。

イランの首都テヘランで2024年4月14日、イスラエルに対する攻撃の後、街角に集まって攻撃を歓迎するイラン人たち。WANA提供=ロイター

米国防総省「無人機を撃墜し続けている」

 米国防総省高官は13日午後、「米軍はイスラエルをねらってイランが発射した無人機を撃墜し続けている」と明らかにした。

 さらに「米軍はさらなる防衛支援を提供し、この地域で活動する米軍を守る態勢を維持している」とした。

イスラエル南部アシュケロンで2024年4月14日、イランがイスラエルに対してドローン(無人機)とミサイルを発射した後、ミサイル迎撃システムが作動した=ロイター

イラン革命防衛隊「イスラエル内部の標的に成功裏に命中」との声明

 イランの革命防衛隊に近いタスニム通信は14日午前1時40分ごろ、同隊の声明の全文を伝えた。それによると、同隊が「数十のミサイルとドローン(無人機)を、占領地(イスラエル)内部の標的に成功裏に命中させた」としている。同隊は、標的の詳しい内容などには触れていない。

 声明によると、攻撃に参加したのは同隊の航空宇宙軍など。攻撃は、ライシ大統領が議長を務める最高安全保障委員会の承認を得て行われたとしている。

イスラエル各地で警戒警報

 イランからのドローンなどによる攻撃を受け、イスラエル各地で警戒警報が鳴っている。地元メディアの「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、エルサレムのほかパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の北部、イスラエル南部でも警報が鳴っているという。イスラエルの救急当局は現地時間14日午前2時すぎ、イスラエル南部で10歳の少年が負傷したと発表した。

イラン国営メディア「標的は軍事拠点のみ」 被害はまだ報道されず

 イランがイスラエルに向けて発射したドローンやミサイルについて、国営プレスTVは14日午前1時半ごろ、「イランは(イスラエルの)軍事拠点のみを標的としている」と伝えた。攻撃による実際の被害については、まだ報道されていない。

イラン革命防衛隊「イスラエルの犯罪に対する報復」 作戦名は「真の約束」 

 イラン革命防衛隊は14日午前0時ごろ声明を発表し、イスラエルに対して「数十のドローンとミサイルを発射した」と明らかにした。国営放送が伝えた。

 国営放送によると、声明は、「(シリアの首都)ダマスカスのイラン(大使館)の領事部に対する攻撃など、イスラエルの犯罪に対する報復」と理由を説明している。また、イラン国営プレスTVによると、革命防衛隊は攻撃の作戦名を「真の約束」としているという。

 また、イランのアシュティアニ国防軍需相は、イスラエルの反撃に領土や領空を開放したいかなる国にも「断固たる対応」を取ると述べた。イラン国営通信が14日未明に伝えた。

イラン、イスラエルに弾道ミサイル発射か 国営通信伝える

 イランがイスラエルに向けてドローン(無人機)やミサイルなどを発射したことに絡み、イラン国営通信は14日、「弾道ミサイルの第1陣が占領地(イスラエル)の奥深くにある標的に向けて発射された」と伝えた。

 国営通信の報道はミサイルの詳しい数などについては伝えていないが、イラン革命防衛隊の発表した声明は、「数十のミサイルとドローン」を使ったとしている。

イスラエル軍「イラン領土からドローン攻撃」

 イスラエル軍のハガリ報道官は13日夜の記者会見で、イラン領土から数十機のドローン(無人機)がイスラエルに向かって発射されたことを確認した、と発表した。ハガリ氏は「無人機がイスラエル領内に到達するには数時間かかる」と述べたうえで、軍は様々なシナリオを事前に準備しており、「迎撃するために米国や地域のパートナーと緊密に連携している」と話した。

■■■■2024年4月13日…

共有
Exit mobile version