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写真・図版
ネパール側から望むエベレスト=2013年5月

 世界最高峰のエベレストを含むネパールの世界自然遺産「サガルマータ国立公園」で、観光客向けのヘリコプターの飛行禁止を求める動きが出ている。騒音や生息する動物などへの影響を訴える国立公園側に対し、運営企業は反発している。

 公園内では近年、観光シーズンである春と秋にヘリコプターが計6千回以上飛行。時間をかけずにエベレストの絶景の撮影を希望する外国人観光客らの人気を集めていた。

 ところが、国立公園側は今月11日、民間ヘリコプター企業に対し、来年1月1日からエベレスト周辺の上空の飛行を禁止すると通知した。

 スシュマ・ラナ上級自然保護官は取材に対し、「早朝からほぼ一日中飛行し、騒音公害が発生していた」と指摘。「公園内の野生動物を見るため、低空飛行するパイロットも多いため、生態系に大きな影響を与えている」と訴えた。

 地元英字紙カトマンズ・ポストによると、ヘリコプターが指定外の場所で着陸したり、動物の密輸に利用されていたりするとの疑いもあるという。

 これに対し、運営企業側は「観光収入が減る」などと反発。観光客は1人当たり、公園の保護費や地域の発展などの名目を含めて1万ネパールルピー(約1万1千円)前後を支払ってきたとも主張している。

 現地の民間航空局も13日、「公園側が禁止を強制する根拠はない」として、飛行の継続は可能だとの見解を提示した。

 識者からは「飛行は続けつつ、ルートを決めて騒音を最小限に抑えることで、観光業と自然保護の両立を図るべきだ」との声が出ている。

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