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オイシックスの橋上秀樹監督(左)とハヤテの赤堀元之監督
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 今季から日本野球機構(NPB)のファームリーグに新規参加した「オイシックス新潟アルビレックスBC」と「くふうハヤテベンチャーズ静岡」が、初めてのペナントレースを折り返した。

 グラウンド内外で様々な課題が出る中、懸命に初めてのシーズンを完遂しようとしている。

 20日にあったフレッシュオールスターまで、新潟に拠点を置くオイシックス(Os)は、8球団が参加するイースタン・リーグで7位のヤクルトに11ゲーム差をつけられている。静岡が本拠のハヤテも、6球団参加のウエスタン・リーグで5位の広島と6.5差。ともに最下位に甘んじている。

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 Osは昨季まで17年間、独立リーグに加盟し、チームの母体があった。一方のハヤテはゼロから立ち上げ、オフにトライアウトで選手を集めた。当初、NPB関係者の中には、2軍戦とはいえ力の差が顕著で「試合になるのか」と、懸念する声もあった。

 開幕直後は一方的に負けることも多かった。特にNPB経験のない打者が投手の速球や変化球のキレに戸惑い、投手は四球を連発するなど苦しんだという。それが、試合を重ねるうちに適応していった。

 Osの橋上秀樹監督は「思ったより投手が抑えてくれて、比較的締まった試合が多い」と話す。ハヤテの赤堀元之監督も「打者がNPBの2軍投手の投球に目が慣れてきたのはある」と見る。

 難しいのがチームの方向性だ。両球団の選手は、1軍のあるNPB球団入りを目指してチームに身を置いている。そのため、首脳陣は勝利を目指しながらも、多くの選手にチャンスを与える必要性にも迫られる。

 Osには元阪神の高山俊、ハヤテには元ソフトバンク、ロッテの福田秀平らも在籍する。そうしたNPB球団に所属経験のある選手は、支配下登録期限が切れる7月31日までに1軍のある球団から声がかかれば移籍が可能だ。期限後は、シーズンオフまで移籍はできない。NPB未経験選手は、10月のドラフト会議での指名待ちになる。

 Osの橋上監督は「7月の期限までは、NPB経験選手の起用を優先する」方針だという。ハヤテの赤堀監督は「勝つためには犠打も必要だが、そればかりでは選手が伸びない。正直、ジレンマはあります」と、本音を漏らした。

 そんな中、選手たちのモチベーションは高い。昨年、オリックスとの育成契約を解除されたハヤテの右腕、西浜勇星は「毎試合、NPB関係者の前でプレーをさせてもらえる。1球1球が勝負だと思って投げられている」。21歳は新規参加球団の恩恵が生かせていると目を輝かせた。

 一方、両球団の運営面はどうか。Osの池田拓史社長とハヤテの池田省吾社長は、NPBへの参加で「多くの媒体に取りあげられ、知名度は上がった」と口をそろえる。

 Osの池田拓社長は「応援いただくスポンサーさんの数が増えた」と、効果を挙げる。ハヤテの池田省社長によると、球団を立ち上げたばかりで告知活動にまで手が回らない中でも「1試合平均の観客数は1千人に近い」(6月下旬時)という。

 ただ、両社長ともに頭を悩ませているのが、運営経費の問題。ともに独立リーグ球団の運営経験があり、予想はしていたものの、その違いを痛感している。独立リーグは年間50~70試合ほどだが、NPBの2軍戦は約140試合だ。

 試合数の増加で選手の年俸や移動の経費、ユニホームのクリーニング代などがかさむ。独立リーグでは1億~2億円だった経費は、5億~6億円ほどに跳ね上がりそうだと予測する。

 これを、どう節減していくかが課題。Osは企業と連携して物品の提供や選手の食事のサポートを受けている。ハヤテは数千万円で大型バスを購入し、移動の経費を削減。あの手この手で出費を抑えている。

 球団職員は両球団とも10人…

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