鹿児島・屋久島沖で米空軍のオスプレイ1機が墜落し、乗組員8人全員が死亡した事故から1年。島民は国防の最前線に立つ現実を突きつけられ、政府は米軍の調査に関われなかった。オスプレイを巡るトラブルが相次ぐ中、日米の配備は進んでいる。
2023年11月29日午後2時40分ごろ、漁師中島正道さん(69)は屋久島東沖で仲間の漁師とシマアジ漁の操業中だった。「ドローンが飛んでますね」「オスプレイだろ」。中島さんは特に気にも留めずに魚を揚げていた。その直後だった。
「落ちる、落ちる!」
黒い塊が海へ落下し、黒煙が立ち上ってオレンジ色の火の玉のようになって爆発。細く真っ白な水柱が数十メートルの高さまで上がり、周囲は轟音(ごうおん)に包まれた。
後に乗組員8人全員の死亡が確認された事故。現場は島から約2キロの沖合だった。米軍は直後、オスプレイの飛行を全世界で停止したが、翌年3月には「安全対策は講じた」として再開した。具体的な事故原因は明らかにされていなかった。
中島さんは「一歩間違えれば島に落ちていた。目の前であんなものを見せられたら、飛行再開なんてとても容認できんですよ」と憤る。今でも航空機のエンジン音を聞くと空を見上げるという。
事故原因のギア破断、拭えぬ島民の「なぜ」
この数年、九州から沖縄にわ…