【動画】巡視船「そうや」の搭載ヘリによる流氷観測=山本智之撮影
ヘリコプターがオホーツク海の上空へと舞い上がった。高度は150~600メートル。上空から流氷を眺める。
- 流氷年々小さく? 10年あたりオホーツク海の3%の海氷域が消失
たくさんの流氷が群れて、川のように流れている場所もあれば、海面をぎっしりと埋め尽くして白い平原のように見える海域もあった。
午後の日差しを受けてまばゆい白色に輝く流氷たち。息をのむような荘厳な眺めが、水平線のかなたまでずっと続いていた。
海上保安庁の巡視船「そうや」の海氷観測では、船に搭載されたヘリコプター「せきれい」も活躍している。
記者は22日午後のフライトに参加した。せきれいは中型ヘリで、通常は機長を含む5人が乗る。
海保職員のほか、同行する研究者らも搭乗。流氷の広がりや密度などの目視調査に役立てている。
北海道大学低温科学研究所の豊田威信助教(地球環境科学)は「近年は大きなサイズの氷盤(ひょうばん)が少なくなっている」と指摘する。
「かつては1キロメートルを超すサイズのものもあったが、今回の調査でみられたのは大きなものでも20~100メートルくらいのサイズ」と話す。船体の長さ98・6メートルのそうやより小さいものが目立つという。
ヘリの機長で主任飛行士の佐藤翔平さん(39)は、パイロット歴13年。子どものころからヘリや飛行機が大好きで、パイロットに憧れてきた。
巡視船から発着するヘリの操縦は、発着場所そのものが移動するのが難しいという。「霧があるときや夜間など、視界がききにくい時は特に神経を使います」と話す。
沖縄が初任地。これまで、洋上でけがをしたり病気になったりした人の救急搬送、海難事故など、数々の現場に対応してきた。
今回は、上空からの海氷観測をいかに充実させるかに心を砕く。「ヘリは飛行機よりも低空で、かつゆっくりと飛べる。そのメリットを観測に生かしてもらえるように、可能な限り要望に応えたい」