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インタビューで答えるコーセラのジェフ・マッジョンカルダ最高経営責任者(CEO)=東京都目黒区、藤えりか撮影

 コロナ下で広がったオンラインでの学びが、以前の日常に戻りつつあるなかでも世界的に広がり続けている。デジタル技術の高まりを背景に、オンラインだけで学位を授与する大学も増えている。機運はどのように高まり、どんな課題があるのか。約1億4200万人の登録者数を擁し、スタンフォード大学や東京大学など世界で195以上の大学の講義を提供する米大手オンライン学習プラットフォーム「コーセラ」の最高経営責任者(CEO)、ジェフ・マッジョンカルダさん(55)にインタビューした。

 ――コロナ禍での外出自粛制限がなくなり、対面での学びが復活する一方で、オンラインでの学びも広がり続けています。

 学びのオンライン化を余儀なくされた2020年、コーセラは登録者数も提携大学数も大きく増えました。パンデミック後も、大学の学位や業界の資格取得、個別のコースに至るまで、オンラインで学ぶ人が確かに増えています。最も関心があるのはデータ科学やコンピューター科学、ビジネスで、ヘルスケアへの関心も高まりつつあります。

対面中心に戻る日本の大学、一方で世界は

 ――ただ、特に日本では、多くの大学が対面中心に戻っています。

 コミュニティーや社会的な学習体験はとても貴重だし、多くの学生は、キャンパスに行って仲間と一緒に過ごしたいと思っています。

 特に若者にとって、学校に出向く価値の多くは、家を出て他の人と暮らしたり、ビールを飲んだり楽しんだり、配偶者と出会ったり、スポーツチームを応援したりする点にあります。教授とじかに出会って学ぶ経験は、お金はかかるかもしれませんが、とても貴重なものです。オンラインだけでは、同じような共有体験は得られないでしょう。

 しかし、機械学習や、モノがインターネットでつながるIoT、暗号資産(仮想通貨)など高度な科目を受講したい場合、大学には十分な教員がいなかったりします。米国のどの大学も感じていることですが、あまりにも多くの物事があまりにも速く変化しすぎています。そこで、学生が求める最新かつ本物の専門家による様々なコースを提供する方法として、学生がキャンパスにいてもオンラインでコースを受講できるハイブリッドアプローチが取られています。多くの国で今、大学の単位の50%までオンラインで学べる規定が作られています。

 ただし、仕事上のリスキリング(Reskilling)やスキルアップ(Upskilling)をしたい人たちにとっては、キャンパスで学ぶのは非現実的です。物理的に教室にいながら、家族をケアしたり仕事をしたりはできず、かといって大学に通うために会社を辞める余裕もない。夜間や週末、電車に乗っている時などに学ぶことになります。そこで、オンラインが必要なのです。

【未来型の講義動画を記事の後半で紹介します】

人工知能(AI)の活用で、英語の講義を日本語などに音声翻訳して学べるコースもいずれお目見えしそうです。そのデモ動画を後半で紹介します。

企業は「社員のAI知識に不満」との調査 求められる学びのサポート

 ――社会人の学びは日本でも広がっています。

 働く人は新しいことを学ぶ必要があります。

 数十年前は、一度大学を卒業…

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