選挙の投票立会人のなり手不足などから投票所の減少が全国で進むなか、6月9日投開票の鳥取県智頭(ちづ)町の町長選と町議補選では投票所内にカメラが設置され、立会人の確認業務がオンライン化される。総務省によると、全国初という。平井伸治知事が23日、記者会見で明らかにした。
投票時の立ち会いは公職選挙法で定められた制度。有権者から選ばれた2人以上5人以下の立会人が投票所ごとに配置され、投票が公正に実施されているかをチェックする。
県や選挙を実施する町によると、期日前投票の移動投票車と投票当日の投票所(7カ所のうち1カ所)で実施する。有権者が投票する場面をカメラで撮影し、動画を町役場で立会人が確認する。
人口減や高齢化などを背景に、県内では2004年の参院選で570カ所あった投票所は昨年の統一地方選で359カ所まで減った。県が12年以降に投票所を統廃合した5市町に理由を聞いたところ、投票立会人の確保の困難さを指摘する声が最も多かった。
立会人の報酬は1万円前後で、法令に規定されている。だが休日1日を通じた長時間の業務であることなどの負担感から、なり手不足に陥っている。
平井知事は記者会見で「立会人の負担を減らし、投票所を守りたい。投票行動を保障することが民主主義の基本である」と語った。県は、今回の選挙で配置する立会人をどこまで減らすかは町との協議次第としている。将来的にはオンライン立ち会いが投票所の減少を防ぐ効果に期待する。
総務省選挙課の担当者は「公選法では投票立会人は現地で立ち会うこととされていると考えているが、立会人の確保が課題であることも認識している」と説明している。(清野貴幸)
ロボットによる投票立ち会いの実証実験も
22年参院選では全国の投票…