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写真・図版
友人が雑貨店で見つけたカラスのおとり。職場の机に置いている

 街路樹が緑に染まる初夏は、子育て真っ最中の都会のカラスと人間のトラブルが頻発する。巣が停電の原因になるとか、背後から襲われたとか……。でもカラスも人も都市に暮らしている。むやみに嫌う前に、カラスの生態に詳しい松原始さん(55)に事情を聞いてみよう。

 日本で出あう大きな黒い鳥は、一くくりの「カラス」ではない。本州で普通に見かけるのはハシブトガラスとハシボソガラスの2種だ。

 大きなくちばしにおでこが目立ち、澄んだ声でカアカア鳴くのがハシブト。小柄でくちばしがすんなり細く、ガアガア鳴くのがハシボソ。

 どちらも木の実や昆虫、小動物、そして動物の死骸などを食べる雑食性。えさになる昆虫や果実が増える春から夏にかけて巣を作って卵を産み、ひなを育てる。

 都会のカラスはまず「ごみを散らかす」と責められた。大勢の人が消費生活を送る都市では日々大量のごみが出て、それを食べるカラスには都合が良い。

 都心ではごみが増えた1970年代からカラスが増え始めた。東京都内40カ所でカラスの生息数調査を続ける都によると、2001年度は3万6千羽を超えていた。

 ごみあさりの主役は大柄なハ…

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