今年2月にあったカーリング日本選手権を制した札幌市の女子チーム「フォルティウス」を、野球日本代表「侍ジャパン」の元ヘッドコーチが支えている。
白井一幸さん(64)。
野球で日本を世界一に導いた名参謀が、勝ちきれないカーリングチームにもたらした変化とは。
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日本が3大会ぶりに優勝した2023年の「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)で、白井さんは栗山英樹監督の腹心として腕を振るった。
メンタル面やコミュニケーションを重視した指導に定評があり、日本ハムでも14年から4年間、栗山監督の下でコーチを務めた。現在はコーチ経験を生かし、人材育成や強い組織づくりをテーマに企業向けの講演活動を続けている。
フォルティウスとの出会いは20年だった。
15年を最後に日本一から遠ざかっていた前身の「北海道銀行フォルティウス」から、メンタルコーチとして声がかかった。
「氷上のチェス」と呼ばれるカーリングは、繊細な読みと戦略が求められ、考える時間が長い。女子の指導実績も、カーリング経験もなかったが、「メンタル面が重要で、チャレンジのしがいがある」と引き受けた。
選手たちに伝えたのは「前後…