奈良で「ホトケ女史」として活動する安達えみさん=本人提供

 奈良の社寺をこよなく愛する「ホトケ女史」の安達えみさん。十数年前、東京のアニメ制作会社で忙しい毎日を送る中で、テレビの深夜番組をきっかけに1冊の本と出会い、「仏像愛」に火が付いたといいます。今回のエッセーでは、その出会いを振り返ります。

  • アニメ制作会社員から「ホトケ女史」へ 仏像が気になり奈良に移住

デビューは「天元突破グレンラガン」

 仏像が好きだ。

 大学は美大に通っていたというと、そこで仏教美術を学んでいたと思われることもあるが、実際はそんなことない。仏像を好きになったのは大学卒業後、アニメ会社ガイナックスに入社してからである。

 私が担当していた「制作進行」という仕事は、膨大なアニメの制作工程において、部署間の作業を円滑に回す仕事だった。テレビシリーズのアニメだと各話数につき1人、制作進行がつく。ちなみに私の制作進行デビュー作は「天元突破グレンラガン」の第6話である。機会があれば、エンドロールのスタッフ名をチェックしていただきたい。

 制作進行の仕事は激務に次ぐ激務。1日丸々休めることはほとんどない。アニメ業界がブラックであることは今では有名だが、当時は若かったこともあり「仕事とはこういうものなのだろう」と、毎日目の前の仕事をただただこなしていた。

テレビ東京の「シンボルず」が

 休みはなくても意外に多いの…

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