国際司法裁判所(ICJ)は24日、パレスチナ自治区ガザに侵攻するイスラエルに対し、暫定措置としてガザ南部ラファでの軍事作戦の即時停止などを命じました。しかしイスラエル側は、戦時内閣のガンツ前国防相が声明で「人質を取り戻し、自国民の安全を確保するため、いついかなる場所でも戦う義務がある」と強調するなど、戦闘継続の姿勢を堅持。その後もラファで空爆を行っており、壊滅的な人道状況に歯止めがかかる見通しは立っていません。
イスラエル軍によるガザへの攻撃が続くなか、エジプトとの境界にあるガザ南部ラファ検問所からの支援物資の搬入は中断しています。ロイター通信は24日、エジプト側で滞留した卵などの支援物資の腐敗が進んでいると伝えました。米国とエジプトは同日、ガザ南部の別の検問所から人道支援物資を運び込むことで一致しましたが、戦火の中で人々に届くかは不透明な状況です。
イスラエル・パレスチナ問題をめぐる動きを時系列でお伝えします。
- 【そもそも解説】中東で何が起きている?イスラエルがイランに攻撃か
- 【一つ前】5月13日~5月24日(日本時間)の動き
■■■2024年5月25日(日本時間)の動き■■■
ガザ支援の食料、搬入できず腐敗 NGO「全ての検問所開放を」
イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザで、エジプトとの境界にある南部ラファ検問所からの支援物資搬入が戦闘の影響で中断されたことから、エジプト側に滞留する支援物資の食料の腐敗が進んでいると、ロイター通信が24日、報じた。
ロイターによると、ラファ検問所では約3週間にわたり支援物資の搬入が中断されてエジプト側からの支援物資が滞留し、リンゴやバナナ、卵、鶏肉などが腐っているという。支援物資が届かない中、ガザ内部では飢餓が悪化する恐れが指摘されている。
ガザで活動する在米NGO「マーシー・コープス」は24日に出した声明で、「(ガザに通じる)全ての検問所を開放するなどの劇的な変化が起きなければ、飢餓や病気の流行などによって人々が命を落とす恐れがある」と警鐘を鳴らした。
米国務長官、イスラエル側と対応を電話協議 ICJ命令受け
国際司法裁判所(ICJ)がパレスチナ自治区ガザ南部ラファでの作戦停止をイスラエルに命じたことをめぐり、米国のブリンケン国務長官は24日、イスラエル戦時内閣メンバーのガンツ前国防相と電話で対応を協議した。ガンツ氏の事務所が発表した内容を、米CNNが伝えた。
CNNによると、協議ではブリンケン氏がガザにおける人道状況の重要性を強調。ガンツ氏は「イスラエルは人道援助がガザの全地域に届くことを許可している」と主張した。国際刑事裁判所(ICC)の検察局がイスラエルのネタニヤフ首相らへの逮捕状を請求したことも議題に上ったという。
CJ命令、サウジが歓迎 エジプトも条約順守をイスラエルに呼びかけ
国際司法裁判所(ICJ)がパレスチナ自治区ガザ南部ラファでの作戦停止をイスラエルに命じたことについて、サウジアラビアの外務省は24日、「ICJの決定を歓迎する」との声明を出した。
声明は決定について「パレスチナ人の倫理的かつ法的な権利(の実現)に向けた前向きな一歩だ」と評価。ICJの作戦停止命令がパレスチナ全域に適用されるべきだとも強調した。
米CNNによると、エジプトの外務省も同日、声明を発表。イスラエルに対し、ジェノサイド(集団殺害)条約に基づく義務を果たすよう呼びかけた。
■米エジプト首脳が電話協議 …