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 夏野菜が平年より高値で推移している。7月前半の東京都中央卸売市場の価格は、キュウリが平年比約3割高、ナスとピーマンが約2割高。農林水産省によると、春以降の気温の乱高下や日照不足の影響などで生育に不良や遅れがあり、出荷量が減ったためという。

 都中央卸売市場の7月前半の1㌔あたりの価格はキュウリが374円と平年比で34.0%高い。ナスは22.9%高い412円、ピーマンは23.4%高い537円、トマトは14.5%高い402円だった。中央卸売市場は全国の指標となり、他の地域でも同じ傾向とみられる。

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今後の値動きが気になる、夏に採れる野菜

 市場関係者によると、7月に入ってからキュウリ、ナス、トマトの出荷量は前年並みに回復してきたが、ピーマンやミニトマトは前年より2割ほど少ない状況だという。

 夏野菜の値段が気になります。食材が傷みやすいこの時期、長持ちさせるコツを料理研究家に聞きました。食費の節約や節電、調理の時短にもつながります。

 出荷量は今月下旬、そしてお盆に向けて増えてくると見込んでいるが、今年は例年より早く梅雨明けした地域もあり、「暑さの影響が出る可能性は多分にある」と懸念する。「高温障害が出て品質低下などがあれば、出荷量も減速に転じるかもしれない。そうすれば高値が続く可能性もある」と指摘する。

冷凍でうまみアップ、調理も時短

 食品の保存に詳しい料理研究家の島本美由紀さんが勧めるのが、夏野菜を切らずにそのまま凍らせる「丸ごと冷凍」だ。カット野菜を冷凍した場合の保存期間は1カ月だが、丸ごとの場合は切り口がないため傷みにくく、3カ月ほど持つという。

無駄なく使い切るコツは

 トマト、ナス、ピーマン、オクラなどが丸ごと冷凍に向いている。洗ってから水気をふき取り、ヘタつきのまま保存袋へ。室温で5分ほど置くと包丁で切れる硬さになるため、好きな大きさにカットできる。

 トマトは凍らせるとうまみが増し、酸味が和らぐ。丸みのある方に軽く切り目を入れて水にさらすだけで皮がつるんとむけ、食感をよくしたいソースや煮込み料理に適している。カットして、そうめんのつゆに入れると、トマト風味のつゆになる。

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冷凍したトマトを室温に5分おいて切り、そうめんのつゆに入れるとトマト風味のつゆに=島本美由紀さん提供

 ピーマンも苦みが和らぎ、子どもも食べやすくなる。血液をサラサラにする効果が期待できるピラジンという栄養素が多く含まれる種やわたも、煮浸しにすると丸ごと食べられる。オクラは産毛が自然に落ち、板ずりなどの処理が不要になるという。

火の通り早く、調理時間短縮に 食費節約にも

 野菜は凍らせることで組織が壊れて火の通りが早くなり、味がしみこみやすくなる。時短になり、夏場にキッチンに立つ時間を減らすことができるという。ナスの場合は、加熱する時に少量の油でも短時間で調理できて、ヘルシーに仕上げることができる。

 トウモロコシや枝豆も、収穫後から急速に甘みや栄養価が落ちてしまうため、すぐに食べない時は冷凍保存が向く。トウモロコシはひげと葉を取り、1本ずつラップに包んで保存袋へ。枝豆は枝から切り落として袋に入れる。調理は、いずれも凍ったまま熱湯でゆでる。

 一方、「カットして冷凍」が適しているのは、キュウリやパプリカ、ゴーヤなど。キュウリは薄切りにして1本分ずつラップに包んで保存袋へ。自然解凍して水気を絞れば、ポテトサラダや酢の物、ちらしずしなどに使いやすい。「安い時にまとめ買いして冷凍しておけば、食費節約にもつながります」と島本さん。

 何種類かを組み合わせるのも便利だ。冷凍でうまみが増す「きのこミックス」のほか、夏におすすめなのは「薬味ミックス」。大葉(せん切り)、ミョウガ(小口切り)、長ネギ(みじん切り)、ショウガ(みじん切り)を保存袋に入れて凍らせる。必要なときに好みの分量を取り出し、そうめんや冷ややっこに使える。

 保存したものの、冷凍室の奥から「いつ入れたのかわからない」化石のような食材が出てきた経験がある人もいるのでは? 無駄なく使い切るコツとして、島本さんは、保存袋に冷凍した日付を書く▽見落としがないよう、ブックスタンドなどを使って立てて収納▽冷凍室の食材を優先して使う――などを提案。「月に1度は冷凍室の食材を見直すようにしましょう」と助言する。

 また、冷蔵庫の使い方を工夫すると、節電効果が期待できる。収納は「冷蔵室は7割以下、冷凍室は7割以上」が目安だ。冷蔵室にものを詰め込みすぎると冷気が効率よくまわらず、余分な電力を消費することになる。一方、冷凍室は互いに冷やし合うため、ぎっしり詰め込んだほうがよいという。庫内の設定温度は夏は「中」、冬は「弱」に。資源エネルギー庁のウェブサイトによると、「強」から「中」にすると年間1910円の節約になるという。

<食・料理>ページ

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