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米海軍士官ピンカートン役を演じる原田康夫さん(中央)=2025年9月7日午後2時15分、広島県東広島市、副島英樹撮影

 かつて「歌う学長」と呼ばれ、94歳の今もテノール歌手として活動する元広島大学長で医師の原田康夫さんが9月7日、「最高齢の男性のテノールオペラ歌手」としてギネス世界記録に認定された。この日、広島県東広島市の広島大サタケメモリアルホールで上演されたオペラ「蝶々(ちょうちょう)夫人」で、蝶々が恋い焦がれるピンカートン役をイタリア語で演じきった。

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ピンカートン役を演じる原田康夫さん。左は蝶々役の乗松恵美さん=2025年9月7日午後2時32分、広島県東広島市、副島英樹撮影

 原田さんは広島の入市被爆者。原爆の焼け跡の闇市で見つけたイタリアの作曲家プッチーニの歌曲のレコードが人生を方向づけた。声楽に関係が深い耳鼻咽喉(いんこう)科医への道を選び、広島大医学部時代の1954(昭和29)年にオペラ「蝶々夫人」で初舞台を踏んだ。

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上演後の楽屋で、ギネス認定証を手にする原田康夫さん=2025年9月7日午後5時16分、広島県東広島市、副島英樹撮影

 原田さんによると、60歳以上になると高音が出にくくなるが、これは口を開けて寝るため声帯が乾くからだという。それを防ぐため、50年前から口にばんそうこうを貼って就寝する。寝る前には、こんにゃくで作ったスポンジ片を上唇の裏に入れる。唾液(だえき)を溜(た)め、唾液の中の不老長寿のホルモンといわれるパロチンを最大限生かすためで、25年以上続けている。

声帯維持のため、考えついた秘策は

 「こうした体調管理を長年し…

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