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新井清美・信州大学教授=長野県松本市、岡田玄撮影

 米大リーグの大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏の事件で注目された「ギャンブル依存症」。日本のスポーツ界ではこれまでも、選手らによる問題が起きてきました。現役アスリートらに調査した新井清美・信州大学教授は「対策は急務だ」と指摘します。

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 日本では、アスリートやチームスタッフの依存症について、調査がほとんどなされていません。しかし、スポーツ選手らが関係するギャンブルの問題は繰り返し起きています。

 数少ない調査に、私たち研究グループが2019年に発表したものがあります。182の競技団体に所属するプロとアマチュア2729選手、スタッフ475人から回答を得ました。

 明らかになったのは、一般の人に比べ、スポーツ関係者はギャンブル障害、いわゆるギャンブル依存症が疑われる割合が多いということでした。また、女性よりも男性の方がリスクが高いこともわかりました。

 要因の一つは、強いストレスです。試合には勝敗があり、好成績が求められる。その重圧は、選手だけでなく、スタッフも同じです。実業団では、職場のストレスも加わります。

 そんな時、ギャンブルをすると、ストレスを忘れられる気がする――。自己治療仮説といわれる、依存する心理的メカニズムです。

 周囲の環境も影響を与えていました。プロ選手だと、練習は短時間で集中的に行い、一日の残りは試合以外は自由時間になります。周りにギャンブルをする人がいると、誘われてやり始める。そんなケースが少なくありません。

 資金力が弱いチームだと、選…

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