Smiley face
写真・図版
バイオ科学企業営業部本部長の奥谷陽さんが開発したクマスプレー「熊一目散」は、キャップを外しボタンを押すことで噴射できる=2025年5月9日午前11時25分、東京都港区、古畑航希撮影

 クマと遭遇してしまった時、強い味方となるのが「クマスプレー」だ。さっと取り出し、クマのいる方向に噴射して身を守る。人とクマの距離が近づく昨今、その需要は高まっているが、日本では、海外製が主流で値も張る。ある国内の企業が3年かけて国産スプレーを開発、販売を始めた。

海外製は高い?

 クマスプレーは、唐辛子に含まれるカプサイシンなどをスプレー噴射するもの。クマを退ける効果があり、身を守るために有効とされる手段の一つだ。

 30年にわたって米国からの輸入に携わる「エアーイズム」(札幌市)の奈良真代表取締役によれば、国内では3~4種類の海外製品が主流で、価格の相場は1万5千~2万円ほどだという。高価であることに加え、専門家からは使用に練習の必要や、誤噴射の危険性が指摘されている。

 そんななか、水産や畜産関係の医薬品、飼料などを製造する「バイオ科学」(徳島県阿南市)が国産スプレーを開発した。10回を超える試作を繰り返し、3年かかって完成させた。

 きっかけは、東京事務所の奥谷陽・企業営業部本部長の疑問だった。アウトドア好きの奥谷さんは、北海道や関東など全国で渓流釣りをする。山に入るときは、鈴とナイフでクマへの警戒を怠らない。

  • クマと遭遇したら、どうすれば?

噴射距離で試行錯誤

 「クマスプレーがほしいけど…

共有