狩猟対象で食用とする野生鳥獣やその肉を意味する「ジビエ」。高山がなく、クマがいない「クマなし県」として知られる千葉県は、実はジビエ先進県だ。ジビエ初心者の記者が、魅力を探った。

 千葉県にはクマはいない一方、イノシシなどの中型動物は数多く、農作物被害は後を絶たない。

関東トップの処理施設数

 農林水産省の2023年度のまとめによると、イノシシによる県の農作物被害額は1億2616万円で、関東1都6県でワースト。全国でもワースト8位だ。サルやシカなどその他の鳥獣も含めると、被害額は3億692万円にも上り、農業の盛んな千葉県にとって深刻な問題だ。

 県はイノシシなどの野生鳥獣対策の一環として、16年度からは県内で捕獲し、県内の食肉処理加工施設で適切に処理・加工したイノシシやシカの肉を「房総ジビエ」と名付け、ブランド化して消費拡大を図ってきた。農水省によると、23年度の県内のジビエ処理加工施設の数は15を数え、関東トップを誇る。

「食事処 八幡屋」の「猪鍋」=2024年12月19日午後1時47分、千葉県市原市潤井戸、田辺詩織撮影

千葉ならではの魅力は

 だが、県民の間でジビエが浸透しているとは言いがたい。

 県は魅力を発信し、捕獲意欲…

共有
Exit mobile version