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首相官邸に入る石破茂首相=2025年4月9日午前8時20分、岩下毅撮影
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 米価の高止まりが収まらず、政府がさらなる対策に乗り出さざるを得ない状況に追い込まれた。石破茂首相が司令塔の役割を十分に果たせず、対応が後手後手に回ったことが背景にある。新たな一手も、どこまで効果が上がるかは見通せない。

 「本当に卸売業者と話したのか」

 2回の備蓄米の入札を終えてしばらくした4月9日朝。石破首相は首相官邸で、江藤拓農林水産相ら農水省幹部に、いらだちを隠さなかった。政府は価格高騰を抑えるため3月に備蓄米を放出したが、米価はいっこうに下がる気配がなかった。

 卸、小売りなど数段階の業者を経る流通過程での滞りが理由だと説明する農水省とのやりとりは、約1時間にわたった。首相はその場で、備蓄米の追加放出を指示。その後、首相は周囲に「そもそもコメが足りないのではないか。農水省は価格を下げようとしているようにはとても思えない」と不満をぶちまけた。

 歴史的な米価高騰に直面しながら、首相は農水省に対して主導力を発揮できず、対策は後手に回り続けた。

 昨年10月に石破政権が発足…

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