■変容と回帰 コロナ禍と文化
ライブはその場で体験することにこそ価値がある――。そんなエンタメ業界の常識を、コロナ禍は覆した。
- 増えた若者、離れた年配者 コロナ禍以降の美術館・映画館はいま
東京・新宿のお笑い劇場「西新宿ナルゲキ」で3日、若手漫才コンビ「ラクジャ」の初単独ライブが開催された。約150席の劇場に若者たちが詰めかけ、笑い声をあげた。
観客は会場の参加者だけではない。劇場後方のカメラで撮影された映像がインターネットで生配信され、会場観覧よりも割安な配信チケットで視聴する人たちもいた。
ライブを運営する「K―PRO」は、コロナ禍でいち早く有料配信を導入した企業の一つだ。必要な機材を一からそろえ、カメラのアングルやマイクの位置など試行錯誤を繰り返して最適なスタイルを確立した。
K―PROの児島気奈(きな)代表によると、現在はナルゲキで催す年間約700本の公演のほぼ全てを配信している。地方のお笑いファンの需要はもちろん、複数のライブ日程が重なった場合や、終演後の口コミで評判を知って視聴する人に、録画配信も重宝されているという。
コロナ禍が始まった当初、お笑い界では配信への抵抗が強かったと振り返る。テレビの賞レースをめざす芸人にとっては、配信によって本番で既視感をもたれる懸念や、劇場の面白さが伝わらないという不安、「ネタの安売り」と感じる風潮があったという。しかし現在は、自分たちの配信映像を見返しながらネタを磨く芸人たちも多く、「配信がなくてはならないものになった」(児島代表)。
コロナ下の2021年に結成…