フランスに「ゴンクール賞」という文学賞がある。100年以上の歴史があり、古くはマルセル・プルースト、今世紀に入ってからはミシェル・ウエルベックやピエール・ルメートルといった人気作家が受賞している。
フランスで最も権威がある文学賞とも言われるこの賞の一昨年の受賞者、ジャンバティスト・アンドレアさんが3月に来日し、インタビューに応じた。
受賞作は「彼女を見守る」(澤田直訳、早川書房)。石工見習いの少年ミモと、侯爵の令嬢ヴィオラ、境遇の違いを超えてひかれ合ったふたりがたどる数奇な人生を追っていく。
舞台は20世紀前半のイタリア。貧しかったミモは彫刻の才能を開花させ、社会的な地位を築いていくが、一方のヴィオラの行く手には、女性は男性に従うものだという社会常識が立ちふさがる。
「現在のヨーロッパでも、女…