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 トランプ米大統領の返り咲きから20日で半年が経ちます。トランプ氏の1期目に駐米大使を務めた佐々江賢一郎さん(日本国際問題研究所理事長)は、この半年をどう見たのでしょうか。トランプ外交が突きつけるものには、「米国の姿勢に関係なく、いずれ向き合わなければいけないテーマもある」と指摘します。

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米ワシントンで2025年1月20日、就任初日に自らが出した大統領令を掲げてみせるトランプ大統領=ロイター

変わらぬ源流 本質とは何か

 私はトランプ大統領1期目の最初の1年間を含む2012~18年、駐米大使を務めていた。着任時から、「ヒルビリー・エレジー」(16年に出版されたバンス副大統領の回顧録)で描かれているような白人貧困層の苦しみについては耳にしていた。だが、正直なところ米国を大きく変えるほどの動きにつながるとは捉えていなかった。民主党、共和党の2大政党が注意を払ってこなかった人々の反乱だ。

【記者が解説】先鋭化した「トランプ2.0」の半年 翻弄された世界

爆撃、関税、停戦交渉、対外援助の停止――。トランプ大統領に、米国内だけでなく世界も翻弄(ほんろう)されてきた。先鋭化する「トランプ2.0」がもたらしたものは何か。各地の記者が報告する。

 2期目も、トランプ氏支持層の源流は変わらない。1期目同様、「取り残された白人層」に届く政策を進めようとしているし、これが本質だ。

 この半年間、トランプ氏は自信を持って政策を進めてきた。一貫した目標は、「強い米国」を復活させ、強固にしていくことだ。そこには三つの柱がある。一つ目は、グローバリズムを否定し、二国間主義を進める。二つ目は、世界の戦争を終わらせ、不必要な戦争には介入しない。三つ目は、軍事強国を維持し、同盟国には相応の分担を求めることだ。

拍車かかった、「寛容な米国」の終わり

 1期目との最大の違いは、ト…

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