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今夏の全国選手権で優勝した京都国際の選手たちは「1」を、準優勝だった関東第一は「2」をつくって記念撮影した
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 あのとき、何を思い、試合に臨んでいたのか。

 時を経て選手同士が語らう「After Game Talk」。今夏の全国選手権決勝を戦った京都国際の主将の主将・藤本陽毅(はるき)遊撃手と中崎琉生(るい)投手、奥井颯大捕手、関東第一の主将・高橋徹平三塁手、坂井遼(はる)投手、熊谷俊乃介捕手が直接顔を合わせ、振り返った。

 ――九回まで両校無得点の投手戦でした。

 中崎(京) 四回2死一塁での、高橋君との対戦が一番印象に残っています。

 高橋(関) 内角直球で空振り三振になったやつ? あれは当たる気がしなかった。

 奥井(京) 長打が嫌だったので最初は外角に。最後は一塁走者が盗塁を仕掛けてくると思って内角を攻めました。

 高橋 ずっと外角で来ていたから、内角はないと思って外の変化球を待っていた。そうしたらタイミングが合わなくて完全にやられました。

 坂井(関) (高橋へは)抜いたまっすぐ投げておけば空振りするし、長打を怖がることはないよ(笑)

 高橋 (チームメートに)期待されてないので。でも逆にリラックスできているのかも(笑)

 ――坂井投手は何回から登板予定でしたか。

 坂井 六、七回くらいにいければいいかなと。七回からだったのでプラン通りです。

 藤本(京) 僕は(先発の)畠中君がタイプ的に苦手で、早く出てきてほしかった。

 中崎 坂井の抜いた直球か速い直球を狙うか、どちらかにしようと監督から言われていました。

 高橋 あの抜いた真っすぐ、どう思った?

 奥井 (坂井に)代わった最初の打者が僕。真っすぐがめっちゃ速いと知っていて、それを待ってたら初球で「抜き」がきて、やられた。一ゴロかな。

 藤本 僕は(九回に)打ったけど。カウントが3―1で直球が来るだろうと待っていた。速い真っすぐを待っていたら抜いた真っすぐ。でも甘かったのでいけると打ったら、中前安打になった。

 坂井 気分で抜いたり速くしたりしている。

 熊谷(関) (捕手側も)いつ速い真っすぐがくるか、遅めなのかわからない。データは取ってるけど、試合前だと忘れて、気分になっちゃうんだよね。

 藤本 それなのに点、取られへんでしょ?

 坂井 俺、(全国選手権の)自責点は0だから。

 ――他に印象に残っているシーンは。

 高橋 タイブレークであった京都国際の(代打・西村一毅投手の)バスター。あれはサインだったの?

 奥井 サイン無視だよ。

 高橋 え? ピッチャーが打者だったから、絶対バントで来ると思った。

 坂井 ピッチャーって気付かなくて、後で西村だったと知った。

 熊谷 俺も。2ボールになって、バスターがあるかもと少しだけ思っていました。

 藤本 バントのサインやけど(内野が前に)出てきたら打て、だった。

 高橋 アウトをサードで取りたくて猛チャージした。打者の構えでおかしいと思ったけど……。

 中崎 九回が終わって交代と言われたのに、ブルペンにいるはずの西村がいない。どこやろうって探したら、もう打席に向かっていて「え?!」と……。

 ――バスターが安打になって無死満塁に。押し出し四球で三塁走者の奥井選手が本塁にかえり、先制点が入りました。

 奥井 不安だったから、あと2点くらい取ってくれと思ってました。

 坂井 四球になった球は直球。足上げた瞬間、バランスが少し変になっちゃった。

 ――互いに堅守のチームでした。

 熊谷 自分は関東第一の方が守備は上だと思っていました。初戦からずっといいプレーをしてきたので、守備だけなら負けないかな。

 藤本 球際の強さは関東第一の方があったかな。そういうのが(自分たちは)弱くて1試合にエラーは1個はあったし、関東第一が上かな。

 ――試合終了後の挨拶では会話する姿もありました。

 藤本 (高橋の)ハグがきつかった。俺は体がそんなデカないから、上からこう(かぶせて)来てきつかったです。

 高橋 共に戦った仲なので。最後はしっかりたたえたほうが良いかなって思いだった。

 中崎 僕は(坂井と熊谷の)2人と高校日本代表になると知ってて、「代表でもよろしく」と。

 坂井 「よろしくねー」みたいなことを返した気がします。

 ――この試合で得たもの、学んだことは。

 高橋 最後はしっかりヒットが出て終われたチームが勝つんだなって。

 藤本 僕たちはピッチャーはいいけど、野手は技術の高い選手はあまりいない。それでもチーム力や雰囲気が良ければ、能力値が高い相手に勝てることがわかった。

 中崎 選抜で負けて、気持ちの部分で未熟な部分があった。大舞台でいいパフォーマンスをしようと思ったら、気持ちが大事だと甲子園で学ばせてもらった。

 奥井 中崎も言ったけど、最後は気持ちの強かったチームが勝つことが分かりました。

 坂井 自分は決勝まで行けるとは正直思ってなくて……甲子園はすごい場所です。

 熊谷 前の試合でできなかったことが次の試合にできたりする。1試合ごとにすごく成長できる場所だと感じました。(構成・大坂尚子)

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