イスラエル軍のレバノンへの激しい軍事作戦を受け、レバノンで暮らしていたシリア難民が自国に戻る動きが広がっている。「21世紀最悪の人道危機」と呼ばれたシリア内戦を逃れ、隣国で生活を立て直そうとした難民たちが、中東の新たな危機で苦境を深めている。

 シリアでは2011年3月、中東の民主化運動「アラブの春」が波及し、アサド政権への抗議デモが全土に拡大。政権側はデモを徹底的に弾圧し、反体制派や混乱に乗じて台頭した「イスラム国」(IS)などの過激派勢力との泥沼の内戦に陥った。

 国連によると、内戦前のシリアの人口約2200万人の半数以上が住む家を追われ、3割にあたる680万人が国外に逃れて難民となった。ロシアの軍事介入などで政権側は軍事的優位を確立したが、北西部イドリブ県では反体制派と政府軍の戦闘が続いている。

 レバノンは推定で約150万人のシリア難民を受け入れているとされ、300万人以上を抱えるトルコに次ぐ第二の受け入れ国となってきた。

シリア難民、レバノンで約200人死亡

 レバノン南部を拠点とするイ…

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