意欲的な新規事業に取り組み、経済界の新風として期待が集まるスタートアップ業界。しかしそこがセクハラの温床となり、女性の進出を妨げている実態があると、起業家教育の研究と実践に取り組む柏野尊徳(たかのり)さん(40)は指摘する。

 柏野さんは2018年、起業家教育と研究を行う「アイリーニ・マネジメント・スクール」(東京)を創業。現在は米シカゴ大に留学し、起業家をとりまく社会環境について研究している。昨年6月、起業家や起業支援組織の関係者ら、日本のスタートアップ業界関係者の197人(うち女性153人)に対してセクハラ被害の経験などを問う調査を行い、翌月結果を公表した。

 結果によると、女性の47.71%が、過去1年間に不適切な身体接触や発言、回避が難しい環境での不快な言動などといった、何らかのセクハラ被害を受けたと答えた。加害者は投資家や顧客、事業の相談に乗るメンター(助言者)など、起業家の成長を支援すべき立場の人物が大半。性的関係を断れば投資や人脈を与えないことをちらつかせる「対価型」の被害も多いという。結果は近く、国際的な起業家研究の英文学術誌に掲載予定だ。

 調査結果をもとに「Voic…

共有
Exit mobile version