スマホなどの適正使用を推進する条例案を提出した愛知県豊明市の小浮正典市長=2025年9月3日、愛知県豊明市役所、松永佳伸撮影

 スマートフォンの適正使用を促すとして個人の余暇時間の過ごし方に一石を投じた愛知県豊明市の条例案。子どものスマホの長時間使用に悩んできた保護者からは歓迎の声もあがる一方、行政が目安を設けるより、本人に時間の使い方を振り返らせるほうが大切だという識者もいる。賛否が渦巻く中、16日に条例案の採否の方向性が示される。

「共通の目安あれば…」子どもとスマホに悩む母

 条例案は、余暇時間のスマホやタブレット端末などの使用について1日2時間以内を目安とし、さらに小学生は午後9時まで、中学生以上18歳未満は同10時までを目安に各家庭でルールをつくるよう促すもの。子どもだけでなく全市民を対象としている。

 「1日2時間という共通の目安があれば、子どもには時間を守るよう伝えやすい」。豊明市内で小中学生を育てる女性(44)はこう話す。

 もともと、高校生になるまではスマホを持たせないつもりだった。だが、小学校の卒業式前から友達同士でのLINEの連絡先交換が始まった。

 「その輪に入れないと疎外感を感じてしまう。子どもの精神衛生上良くないと思った」

 最初は女性のスマホを貸し、その後古いスマホをインターネットにつないで使わせるようになった。

 LINE上では、多いときで100人を超えるグループができた。一度誰かが投稿すれば、その後数十分は通知が鳴りやまない。まれに、やり取りが深夜に及ぶこともある。

 家庭内で平日1時間、休日3時間というルールを設けているが「思春期の子は、親の言葉よりも友達の使い方に引きずられてしまう」。目安を市が設けることで、全体として歯止めをかけやすくなるのではと期待する。

「スマホがあなたの未来を奪う」話し合った末に

 市内で中高生を育てる別の女…

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